雛形
プレスリリースは、広告ではなく、公式発表です。
起業家や小さな会社が何かを発表するとき、つい「すごい」「画期的」「業界初」 といった言葉を並べたくなります。 しかし、プレスリリースの役割は、読者をあおることではありません。 発表内容を正確に伝え、あとから確認できる記録として残すことです。
よいプレスリリースは、記者、取引先、顧客、地域の人、未来の自分たちが読んでも、 何が発表されたのかを理解できます。 事実、背景、引用、連絡先が整理されているからです。
強い発表とは、大きな形容詞ではなく、確認できる事実で支えられた文章です。
この雛形で作るもの。
このページでは、基本的なプレスリリースの構成、短い雛形、標準雛形、引用文の作り方、 公開前チェックリストを用意します。 自社の発表内容、業界、読者、公開目的に合わせて書き換えてください。
プレスリリースに必要な基本要素
- 発表日
- 発表者名
- 見出し
- 要約
- 発表内容
- 背景
- 引用またはコメント
- 会社またはプロジェクト概要
- 問い合わせ先
- 訂正または更新の方針
最初に確認する五つの問い。
書き始める前に、まず次の五つを確認します。 ここが曖昧なまま書くと、発表は宣伝文になりやすく、読者が判断しにくくなります。
発表前の五つの問い
- 何を発表するのか。
- それはいつから有効なのか。
- 誰に関係するのか。
- なぜ今発表するのか。
- 読者はどこで詳細を確認できるのか。
短いプレスリリースの雛形。
小さな発表、サービス開始、イベント告知、サイト公開などに使える短い形です。 まずはこの程度の長さで、正確に書けることが大切です。
短い雛形
[会社名・プロジェクト名]は、[年月日]、[発表内容]を発表しました。
今回の発表は、[読者・顧客・地域・業界]に対して、 [提供する価値・解決する課題]を届けることを目的としています。
[具体的な内容、開始日、対象、利用方法、場所、価格、条件など]。
[代表者名]は、次のように述べています。 「[短いコメント。発表の理由、背景、読者への約束を一文から二文で書く]」
詳細は、[公式ページURL]をご確認ください。 本件に関するお問い合わせは、[問い合わせ先]までお願いいたします。
標準的なプレスリリースの雛形。
会社の正式発表として使いやすい標準形です。 見出し、要約、本文、背景、引用、会社概要、問い合わせ先を分けます。
標準雛形
報道関係者各位
[年月日]
[会社名・プロジェクト名]
[発表の見出し]
[会社名・プロジェクト名]は、[年月日]、[発表内容]を発表しました。 本発表は、[対象となる読者・顧客・地域・業界]に向けて、 [主な目的または価値]を提供するものです。
[第一段落:発表の中心となる事実を簡潔に書く。 何を始めるのか、何を公開するのか、何が変わるのかを明確にする。]
[第二段落:背景を書く。 なぜこの発表を行うのか、どのような課題に向き合うのか、 読者にとってなぜ関係があるのかを説明する。]
[第三段落:具体的な内容を書く。 開始日、対象、利用方法、価格、場所、仕様、参加方法、公式ページなど、 読者が確認できる情報を整理する。]
[代表者名・肩書]は、次のように述べています。 「[引用文。発表の理由、読者への約束、今後の姿勢を具体的に書く。大げさな宣伝文にしない。]」
[会社名・プロジェクト名]は、今後も[今後の方針・継続する活動・読者への姿勢]に取り組んでいきます。
会社またはプロジェクト概要
名称:[会社名・プロジェクト名]
所在地:[所在地]
代表者:[代表者名]
事業内容:[短い説明]
公式サイト:[URL]
本件に関するお問い合わせ
[会社名・担当部署]
担当:[氏名]
メール:[メールアドレス]
電話:[電話番号]
公式ページ:[URL]
見出しの作り方。
見出しは、派手にするより、発表内容が一目で分かることを優先します。 「ついに」「革命的」「日本初」などの言葉は、根拠が明確でない限り避けます。
| 避けたい見出し | 問題点 | 改善例 |
|---|---|---|
| 業界を変える新サービス、ついに登場 | 何を発表したのか分かりにくい | [会社名]、中小企業向け発信支援サービスを開始 |
| 日本初の画期的システムを発表 | 根拠が必要な強い表現 | [会社名]、[機能]を備えた新システムを公開 |
| 誰も見たことがない未来へ | 内容が抽象的すぎる | [地域名]で[具体的な取り組み]を開始 |
要約は、最初の三行で伝える。
プレスリリースの冒頭では、読者がすぐに要点を理解できるようにします。 何を発表したのか、誰に関係するのか、いつから始まるのかを最初に書きます。
要約の雛形
[会社名]は、[年月日]、[対象者]に向けて[商品・サービス・取り組み]を開始します。 本取り組みは、[課題]に対して[提供する価値]を届けることを目的としています。 詳細は[公式ページ・問い合わせ先]で確認できます。
引用文は、宣伝ではなく、理由を語る。
代表者コメントは、発表内容に人間の声を加える場所です。 ただし、ここでも大げさな宣伝は避けます。 なぜこの発表を行うのか、どのような責任で取り組むのかを短く伝えます。
代表者コメントの雛形
「私たちは、[課題]に向き合う中で、[読者・顧客・地域]にとって [必要な価値]が重要であると考えてきました。 今回の発表を通じて、[具体的に実現したいこと]に取り組みます。 今後も、事実を正確に伝え、必要な更新や訂正を行いながら、 誠実に発信を続けていきます。」
数字を書くときの注意。
売上、利用者数、導入数、満足度、効果、削減率、順位などの数字は、 発表に説得力を与えます。 しかし、数字は強い表現だからこそ、根拠が必要です。
数字を使う前の確認
- その数字の出典は何か。
- いつ時点の数字か。
- 推定値か、実績値か。
- 調査対象や条件は明確か。
- 読者が誤解しない表現になっているか。
「初」「最大」「唯一」は慎重に使う。
「日本初」「業界最大」「唯一」といった表現は、強い言葉です。 使う場合は、根拠、調査範囲、確認方法を説明できる必要があります。 説明できない場合は、より穏やかで正確な表現にします。
言い換えの例
- 日本初 → 当社調べでは珍しい取り組み
- 業界最大 → 大規模な取り組み
- 唯一 → 特徴的な機能を備えた
- 革命的 → 新しい選択肢となる
- 絶対に → 目指します、取り組みます
背景を書く。
プレスリリースには、発表内容だけでなく背景も必要です。 背景があることで、読者は「なぜ今この発表なのか」を理解できます。 ただし、背景は言い訳や長い物語ではなく、発表を理解するための補足です。
背景文の雛形
[業界・地域・読者]では、近年[課題・変化]が見られます。 [会社名・プロジェクト名]は、この状況に対して[これまでの取り組み]を行ってきました。 今回の発表は、その取り組みをさらに進め、[具体的な価値]を提供するためのものです。
会社概要は短く、確認できる形で。
会社概要は、長い宣伝文にする必要はありません。 読者が会社の基本情報を確認できることが目的です。
会社概要の雛形
[会社名]は、[所在地]を拠点に、[事業内容]を行う会社です。 [読者・顧客・地域・業界]に向けて、[提供価値]を届けることを目指しています。 詳細は公式サイト[URL]をご確認ください。
問い合わせ先を必ず入れる。
プレスリリースは、公開して終わりではありません。 読者、記者、取引先、顧客が確認したいことを問い合わせられるようにします。 問い合わせ先がない発表は、信頼されにくくなります。
問い合わせ先の雛形
本件に関するお問い合わせ
[会社名・部署名]
担当:[氏名]
メール:[メールアドレス]
電話:[電話番号]
公式ページ:[URL]
訂正と更新の姿勢を持つ。
プレスリリースも、公開後に誤りが見つかることがあります。 その場合に備えて、訂正や更新の方針を持っておくことが大切です。 間違いを黙って直すだけでは、読者に何が変わったか伝わりません。
訂正注記の雛形
この発表内容に誤りが確認された場合は、内容を確認し、必要に応じて訂正日と訂正内容を明記します。 読者の判断に影響する変更については、本文中または発表一覧ページで分かるように表示します。
AIでプレスリリースを書く場合。
AIは、構成案、見出し案、要約、文章の整理に役立ちます。 しかし、発表内容の事実確認、数字、日付、固有名詞、引用、法的に重要な表現は、 必ず人間が確認します。
AI使用時の確認
- 存在しない実績や数字が入っていないか。
- 発表日、開始日、価格、条件が正しいか。
- 代表者コメントが本人の意思と一致しているか。
- 誇張表現が入っていないか。
- 問い合わせ先が正しいか。
- 公開前に責任者が確認したか。
公開前チェックリスト。
プレスリリース確認表
- 発表日が入っているか。
- 発表者名が明確か。
- 見出しが発表内容を正確に示しているか。
- 最初の段落で要点が分かるか。
- 事実と意見が分かれているか。
- 数字や実績の根拠を確認したか。
- 引用文は本人確認済みか。
- 過剰な宣伝表現がないか。
- 問い合わせ先が入っているか。
- 訂正や更新に対応できるか。
教授が学生に渡せるプレスリリースへ。
プレスリリースは、広報の道具であると同時に、発信倫理の教材にもなります。 事実、背景、引用、広告的表現、問い合わせ先、訂正方針を整理する練習になるからです。
起業家が発信する文章だからこそ、読者が確認できる構造が必要です。 自社にとって都合のよい情報だけを並べるのではなく、 読者が判断するために必要な情報を置く。 それが、信頼される公式発表の基本です。
Press.co.jp の結論
プレスリリースは、会社の発表を社会の記録に変える。
何を発表し、なぜ発表し、誰に関係し、どこで確認できるのか。 それを正確に整理することで、発表は単なる宣伝ではなく、信頼できる記録になります。
最後に
よいプレスリリースは、派手な言葉で読者を押し切りません。 事実を整理し、背景を説明し、連絡先を示し、必要なら訂正できる形で公開します。
発表することは、楽しいことです。 新しい挑戦を社会に届ける瞬間だからです。 しかし、その楽しさを信頼に変えるには、作法が必要です。
正確に書く。 確認できるように残す。 間違えたら直す。 その基本が、起業家の発信を強くします。